中央アジア・蒙古旅行記
13世紀の中頃、ヨーロッパ人が相次いでモンゴリアの奥深く入っていった。教皇インノケンチウス4世の命を受け、あるいはルイ9世の書簡を携えて、「地獄(タルタルス)の住人」の地へと中央アジアの乾燥帯を苦難と危険を道連れに歩みゆく修道士たち。勢力を西へ拡大中のモンゴル帝国で、また本営カラコルムで、彼らは何を見、誰に会い、どんな宗教や風俗に触れたのか。2人の修道士それぞれの見聞記。
13世紀中頃、チンギスから、オゴデイ、グユク、モンケとモンゴルが中央アジアへ拡張していく世界情勢のなか、ヨーロッパでは危機感とともに東方への関心が増大、教皇やフランス王が何回か使節団を派遣した。
中でもカルピニのジョンとルブルクのウィリアムは、その旅行記とともに歴史に大きな名を刻んでいる。
教皇インノケンチウス4世の使節としてカラコルムに到達、モンゴル新帝グユクの即位式に立ち会う幸運に恵まれたジョン。ルイ9世の書簡を携え伝道者としてさまざまな民族に出会いながら最終的に皇帝モンケに面会したウィリアム。二人が残した報告書は、元朝を開く前のモンゴル、中央アジアのステップや砂漠を疾駆する遊牧帝国モンゴルの実情をリアルに伝える一級史料となっている。