知覚と発見 : 科学的探究の論理
渡辺博(翻訳), ハンフリースW.C., HumphrysWillardC., 野家啓一(翻訳)
紀伊国屋書店
我々は日々どのようにものを見ているのであろう。同じものは同じように見るのか、それとも人によって違った風に見るのか。"見る"ことに関するさまざまな理論を検討しながら、著者は、"見る"とは"理論を背負って"見ることであって、"なまの事実"などというものはないと主張する。斬新な語り口で眼の背後にある言語的な構造を明らかにして、科学的に見るとはどういうことか、事実とは何か、等の問題にも明快に答える。科学理論は事実によって反駁されるのではなく、別の理論によって反駁されるのであるという著者の学説は、学界に新風を吹きこんだ。本書は、彼の理論の全体像を講義録をもとに編集したもので、我々の自然観、科学観に根本的転換を迫る、恰好の「科学哲学入門」である。